第6回
相続税対策の考え方
<相続税対策の考え方>
-1.相続税の概算納税額を試算する-
相続税対策としては、まず事前にその概算納税額を調べることが必要です。
相続財産が基礎控除に満たないようでしたら特に対策を取る必要もありませんが、相続税が発生するようでしたら早めにその対策を講じておくことがベターです。
-2.相続税が発生する場合の対策は-
@暦年課税制度の利用
贈与税の暦年課税制度を利用して年間110万円までは、贈与税が課税されないので、相続人に生前贈与を実行すべきだと思います。
ただし、シリーズの第3回で記載しましたように相続開始前3年以内の贈与は、贈与でなく相続税の対象になりますので、注意してください。
A住宅等資金の贈与
20歳以上の子供、孫(合計所得が2,000万円以下)に対し平成27年中に住宅等資金を贈与した場合には、上記の@とは別枠で1,000万円まで贈与税が非課税となる制度がありますので、子供さんが住宅を求めているようでしたら是非利用したい制度です。
これは@のように相続税に加算する必要はありません。
B相続時精算課税の利用
シリーズの第5回の相続時精算課税制度(60歳以上の親から20歳以上の子への贈与)を利用して2,500万円まで贈与税が非課税となることもよいのですが、この制度は相続時にすべて相続財産に加算されますので注意が必要です。
この制度はむしろ相続税が発生しない方には便利な制度です。
C贈与税の配偶者控除の適用
贈与税の配偶者控除の適用。婚姻期間が20年以上である場合で居住用の不動産を贈与した場合に2,000万円を控除することができる。
しかし、相続税の計算では居住用の土地については330uまで80%の評価減ができますので土地についてはあまりメリットを感じませんが、建物部分、もしくはマンションを居住用としている場合には、この制度を是非適用したいものです。
D養子縁組
養子縁組。現在の制度では、相続人とされる養子の数が制限(実子がいる場合には1人、実子がいない場合には2人)されていますが、養子縁組はかなり節税効果が大きいものです。
ただし、相続税を不当に減少させるための養子縁組は無効であるとの条文もありますので、養子に財産を相続させない場合などは問題になります。なお、養子については2割増しの相続税となります。
Eお墓・墓石の購入
お墓、墓石の購入。
これらの財産は相続税の非課税対象ですので、必要なら生前に手当をしましよう。
Fその他(減価償却資産について)
相続財産の評価上の問題ですが、建物などの減価償却資産は、固定資産税の評価額が相続財産の評価額となっていますので、実際の取得価額よりはかなり低くなります。
自宅もしくはアパートなどの改築や購入などが、必要な場合には、預金で持っているよりもかなり相続財産が減少しますので、相続税対策としては有効な方法です。
-3.相続財産の分割について-
相続人が仲良く相続財産を分割してくれればよいのですが、相続財産が多額になるほど、遺産を巡る骨肉の争いがあるのも事実です。
遺言はそんな場合に有効にはたらきますので、遺言を残すことをお勧めします。
相続時精算課税制度を利用して、生前に財産を分割しておくのも争いを無くす一つの方法かもしれません。
土地の価格が安くなっている現在、この制度を利用した場合には、相続時にたとえ土地の価額が上昇していても、評価換えする必要がなく、贈与時の評価額となりますので、有利な場合もあります。その逆もありますが。
-4.その他-
居住用の宅地の評価において「小規模宅地等についての相続税の課税価額の計算の特例」というのがあります。相続税の計算においてはもっとも重要な特例のひとつです。
平成27年度から居住用宅地の適用面積が330uに拡大されました。
この特例は、故人が居住用に使用していた宅地を相続人が相続し、引き続き居住用の宅地として使用した場合、330uを限度に評価額を80%減額するという制度です。また個人が事業用に使用していた宅地については、別に400uまで評価額を80%減額する制度も含まれています。平成27年度からは併用して適用が可能となりました。
大変大きなメリットのある制度ですが、適用するためにはクリアしなければならない要件もありますので、是非相続前にご検討していただきたいと思います。
以上をもちまして「相続税シリーズを」を終了いたします。
相続税についての概要が少しでもおわかりいただけたら幸いです。
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